973 From: [ 近藤和彦 ]
また一人、偉大な、そして私のとても大切な人が逝ってしまいました。
大切ななどという書き方はたいへんおこがましいのですが、学生時代から本当にお世話になり、常に感謝と尊敬をしていました。
ここ数年おおきな手術をしては不死鳥のように蘇りその度にどんどん深くなる音と演奏に驚いていました。
私が学生時代はビッグバンドでは東京ユニオンがとにかくダントツにかっこよくそしていつも常にキビしい演奏をしていました。明大前にあったマイルスというジャズ喫茶で当時ユニオンでリードアルトをつとめていた私の最初の師匠であります堀恵二さんと知り合いTVやコンサートのユニオンの仕事にちょこちょこ遊びに行かせていただいたのですが、その頃は怖くてとてもお話なんかできませんでした。TVなどの収録の時はリハーサルで堀さんや近藤淳さんのかわりにちょろっと吹かせていただいても笑っておまえ大丈夫かくらいの感じだったのですが、バンドの練習日に見学に行くとレギュラーメンバーの方が大声でどなられて怒られているのを何度もみて、これがあの凄い演奏のヒミツなんだと実感しました。
ことあるごとにお声をかけていただきいつしか一緒にステージに立たせていただけるようになっても、常に『はい、いきます』と言ってカウントをしだすとびちっと緊張感が走り背筋がピンとなりました。それはほんとにいつもいつまでたってもどんな現場でもでした。
リーダーというのはこうあるべきというお手本のような人でした。
そして音楽に対する、ジャズに対する、SAXに対する真面目な強い姿勢をたくさん教えていただきました。
実は亡くなる前日、昨日の夕方、お見舞いに行ったんです。昨日はほんとに天気もよく暖かくて、病室にはご本人だけがJAZZを聴きながらうつらうつらしていてちょうど目が開いたので手を握ってご挨拶しました。なんだか最近の悪い状態が嘘のようにほんとに穏やかでした。
高橋達也さん、本当にありがとうございました。
そして、お疲れさまでした。
たくさんのこと、受け継いでいきます。
No Comments