僕が教えている昭和音大もやっと前期の実技試験が月曜から始まりました。
ということはまだ夏休みではないということ。
洗足や国立などはもうだいぶ前に夏休みに入ってるらしいのに。
可哀想な学生くんたちと我々先生たちです。
僕は普通の大学の理科系学科だったのでもちろん実技試験なんてありませんでしたので実技試験の採点をすることがとても難しく感じます。
生徒はひとりひとり順番に部屋に入って20人くらいの先生たちの前で演奏してそれを採点するのですが、きっと緊張しますよね。
ホールなど大勢の前で演奏するよりも20人くらいの前で表情が丸わかりのような至近距離で演奏するほうが僕は緊張します。
しかも何曲もではなくたった1曲をたった1回だけ。
オーディションのようなものですね。それを少なくとも年に2回もやるなんて。
でも音大生はそういう経験を学生の時から沢山積むことにより将来人前で演奏する時に冷静でいられるようになるのかもしれません。
音大生って大変ですよね。
で、その試験ですが、演奏に点数をつけていくのです。100点満点で何点って。演奏した音楽に点数をつけるんですよ。
物理や数学なら正解がはっきりしてるし問題を解く方法の違いで点数が変わるくらいならまだわかります。論文や作文や絵は物質だから見なおしたり読みなおしたりもできる。でも音楽はその場のその瞬間だけのもの。
自分の楽器ならまだ点数も付けやすいけど、例えばドラムの試験で、しかも曲がジャズではなくポップスやロックの場合、ずーっと同じ8ビートのパターンを叩いているものにどうやって点数をつけたらいいのでしょう。
もちろんリズムが安定しているとかが判断材料だし、音量感や音色も重要ですが、でもはっきりした基準はありません。
そうなると、なんか気持ちよかったとか叩いてる表情がよかったとか、「感覚」に頼って点数をつけるしかないのです。
でも聞いていて気持ちいい演奏って何をどう練習したらいいのでしょう?
僕は自分の演奏に「上手ですね」とか「凄いですね」なんて滅多に言われないけどたまに「気持ちよかったです」とか「涙が出ました」なんて言われるとこちらがその言葉に感動してしまいます。
音楽はテクニックも必要ですがそれよりも大切なことってあると信じています。
人を感動させることを目的に演奏したり練習したりすることってなにか違うと思う。
こちらが音楽の中に入っていって何かを期待したりせず一生懸命に演奏した時、聴いてる人は初めて「感動」してくれるのではないかと思っています。もちろん独りよがりな演奏ではそれは産まれないでしょうが。
学生の試験を通じて「なんか気持ちいい」ってなんだろうって考えています。
難しいことを追求するのではなく「気持ちいい」ことを考えるほうが自分には大切なんじゃないかって。
っつーか、難しいことができない言い逃れなのかもかもしれませんが。。。
Comment (1)
"kayokayo" says...
かなりジャズライブを聴く方だと思いますが、聴いてて気持ちいいってライブや音、フレーズっていうのは素晴らしく感動するんですがこれがなかなかなかったりします。
お世辞でも何でもなく近藤さんの音楽には良くこれを感じます。
素人なりに「音」に1番拘りがあるんですが、バラードでもブルースでもアップテンポでもミディアムでも、スイングでもファンクでもラテンでもボッサでも、とにかく近藤さんのまろやかな深い、木の香りのする音が大好きなので、仕事で疲れていても、悲しいことがあっても、モチベーションが上がらない時も「あぁぁぁ聴きに来て良かった~」って思うんですよね。
気持ちいいっていうのは、リラックスできたり、ストレス発散になったり、活力をもらえたりできることなんですね。
これからもいっぱい元気を頂きに参ります(^^♪
Posted on 2011年08月07日 日曜日 1:00