逝く人

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657 From: [ 近藤和彦 ]

ここ1ヶ月ほどの間に好きだった音楽家、お世話になった人とのお別れがいくつも重なりました。
ここにも書き込んだけれどJazzを聴き始めた頃からずっと好きだったALTO SAXの巨人Jackie Mclean、何度も生演奏は聴いたけれどもうこれ以上は聴けないと思うと寂しくてしょうがない。亡くなったことを知った日は一晩中レコードやCDをかけました。
 そしてこれまた大好きだったパーカッショニスト、Don Alias。Donは”Jazz” Percussionistでした。数々の有名バンドでプレイし70年代には伝説のバンドSTONE ALLIANCEを自ら立ち上げその音源が昨年あたりからまたCDで再発されミュージシャンの間でも話題になっていたところでした。個人的に思い出深いのは91年NYでKenny Kirklandの唯一のリーダーアルバムの発売記念ライブの時のメンバーで奇しくもその日MILESが逝きました。メンバーのDonとKenny GarrettはMILES BANDに在籍していたこともありその日の演奏の雰囲気は今でも忘れられません。そのKenny Kirklandも数年前に亡くなりました。個人的に知り合いだったこともありとてもショックをうけました。そういえばMcleanもMILES BANDにいましたよね。みんな天国でまたMILESと演ってるんでしょうね。
 そして、原信夫とシャープス&フラッツで長年リードトランペットを吹かれていた森川周三さん。2月には同じシャープでソリストとして長年活躍されたトランペットの福島照之さん。僕は学生の最後の頃、実はシャープに学生の分際でトラに行かせていただいたことがありました。その頃はもちろん話しなんかできないくらい雲の上のお二人でしたが僕がプロになりいつしか仕事が一緒になると優しく声をかけていただけるようになりました。
 お世話になってる音楽事務所の社長、石塚久雄さん。ジャズが好きな方でライブをやりつつもスタジオワークもやる僕に期待しているから頑張れよと応援してくれていました。
 そして最も驚いてショックだった、作曲家の宮川泰先生。皆さんもご存じの通り、本当にたくさんの名曲を残されました。ザ・ピーナッツやTV,映画。情熱の花、恋のバカンス、ウナセラディ東京、銀色の道、ゲバゲバ90分、ニッポン無責任野郎や日本一のホラ吹き男、クレージーキャッツ、どれもこれも一度耳にしたら離れない曲ばかりです。中でもやはり僕らの世代に一番縁りの深いのはなんと言っても宇宙戦艦ヤマトでしょう。最初は小学校の時でした。映画ができるたびに映画館に行き、涙を流しながら真っ赤なスカーフを聴きました。中学の時からブラスバンド部に所属していたのでヤマトは数えきれないくらい演奏をしました。プロになり最初に先生にお会いしたのは平原まことさんのサイドで植木等さんのディナーショーの仕事を頂いた時でした。それから幾度となくご一緒させていただき地方の仕事にも行かせていただいたり平原さんが都合が悪いときには先生から直接仕事をいただいたりしました。そして最後は告別式にて先生の棺を送るためにヤマトを演奏させていただきました。喪主である息子さんのこれまたすばらしい作曲家宮川彬良さん(マツケンサンバ作った方です)の言葉、『物質としての父とはこれでお別れだけれど父が残した音楽の中でいつでも父に会えるんです。父の遺言通りに宇宙戦艦ヤマトのテーマの演奏で父を送りだしたいと思います』、という言葉で演奏が始まりました。涙が止まりませんでしたがしっかり演奏させていただきました。言葉としては難しいですがとても先生らしいお葬式でした。もちろん悲しかったけれど、悲しいだけじゃないなんともいえない温かさを感じました。告別式に出てみて、先生の人生はホントにすばらしかったんだなぁと感じました。真っ赤なスカーフにしてもヤマトのテーマにしても、この告別式で人生最後に使うことが最初から分って作ったんじゃないかと思わせる曲だったんだと思いました。
 小学生で聴いて好きになった曲を中高のブラスバンドで何十回も演奏しいつしかプロになりその作者の先生と仕事をしそしてその先生を見送るためにその曲を演奏する。不思議ですねぇ。時間の流れや人との出会い。実に不思議です。
 人が逝くということ、見送る自分も確実にいつかは逝くのだけれど、その時にいい人生だったと思えるように、そして見送ってくれる人にいい人生だったと思われるように、毎日をとにかく一生懸命に生きていく。いい音楽をたくさん残せたらいいな。
がんばります!
 
亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。
 

2006年04月20日 木曜日 4:23 | "bbs-user"

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