1083 From: [ 近藤和彦 ]
年明け２回目の書き込みなのに少し悲しい内容です。
とてもお世話になった方がまた逝ってしまいました。
サックス吹きなら必ず知ってるとは思いますが、大久保にある石森楽器。
木管楽器、特にサックスを取り扱う店としてはいろいろな意味で日本一だと思います。
もともとはリペアをメインでやってきた店なのでここでウインドに並んでる楽器はビンテージものも含め全てベストな調整がされているので、その楽器本来の特徴を感じて選べるのです。これってあたりまえなことのようですがなかなか並んでる全てが十分な調整がされてる楽器屋さんて実はないんです。
つまり楽器はまず調整がちゃんとされていることが一番大事なことなんです。
そして我々演奏家にとって信頼できるリペアマンというのはかかりつけのお医者さんのような大切な存在なんです。
その調整、修理の専門店として最も早くから頑張っていたのが石森楽器。
その石森のおやっさん、石森実さんがお亡くなりになりました。
僕は高校生のときからずっとお世話になっていました。
昔は大久保通りのもっと明治通りよりの狭い路地を入ったところの普通の民家でした。
修理が終わってとりに行くと仕上げが終わるまでこたつでお茶を飲みながら待たせてもらったものです。
真向かいには高橋楽器というこれまた素晴らしい修理屋さんがあり、この２軒の関係はずっと謎でしたが。
お店も２回移転して大きくなり従業員も増えましたがリペアを大切にするこだわりは他の楽器屋さんとはまったく違っています。
その腕は本当に素晴らしく国内はもちろんですが、アメリカのミュージシャンの間でもその腕の素晴らしさは有名となり日本に来たらすぐに石森を訪れ楽器をチェックしてもらう有名なミュージシャンが沢山います。
現に僕の仲のいいケニーギャレット氏は普段アメリカでもボストンの有名なリペアマン、エミリオさんにしか楽器を触らせないけれど日本に来たら必ず石森さんに持って行ってチェックしてもらっていまいた。
確実に日本一のリペアマンでした。
いや世界的権威の職人さんでした。
音楽の世界を陰で支えてくれていた大切なかたでした。
おやっさんのこだわりの魂は息子さんたちや他のリペアマンに確実に受け継がれていますね。
長い間お世話になりました。
ありがとうございました。
ゆっくりお休みください。
そしていつか僕がそちらにいったらまた楽器診てくださいね。
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