先日、小曽根真さんとDuoのコンサートをやってきました。
今まで、もちろんNNHではご一緒させていただいていますし、NNHツアー中に3回かな、1曲だけのDuoをやったり、僕が演奏している所に遊びに来てくださった時にご一緒したり、あ、僕のアルバムでも1曲Duoをやっていただきました、ってのはあったのですが、Duoだけで、しかもホールコンサートなんて、初めてのことでした。
今回のお題はお互い新曲を書いてそれをやろう、ということ。普段から曲を書くのがなかなか苦労する僕は、念のため(!?)に2曲書いていきました。1曲はわりとすぐ書いたのですがもう1曲は1度書いてから数日かけてあれこれ修正したりでなんだか時間がかかりました。
コンサートの前々日に2時間だけリハーサルをすることになったのですが、小曽根さんは30分の遅刻。なぜかというと曲を書くのを忘れていて午前中に思い出して急いで書いていて少し遅くなったとのこと。なんと、この曲がもの凄く素晴らしい!!!こんな凄い曲をサラサラっと書いてしまうなんて、小曽根さんから出てくるものは全てが素晴らしい音楽なんですね。
本番は1部が小曽根さんのソロで2部がDuo。僕の新曲2曲と小曽根さんの新曲1曲、スタンダードを2曲、アンコールにもスタンダードをと思っていたのですが急遽僕のアルバムで小曽根さんにDuoで演奏してもらった僕のバラードをやることになりました。
Duoの1曲目は僕の新曲でしたが、これがなかなか緊張しました。でもだんだんと小曽根さんの音も自分の音も、その場のその瞬間の音楽も聞くことができるようになって、最終的にはとても楽しかったです。今回の僕の目標は自分が楽しいと思える事、でしたのでそういう意味ではよかったと思っています。もちろん足りない事や出来ない事、失敗した事やミスも多々ありますが、でもそれらを全て含めて、楽しいと思えました。少しは小曽根さんと音楽で会話ができたような気がしました。
まあ、小曽根さんとDuoをやる時点で僕が今更カッコつけたり気負ったりしても無駄だという事がわかっていました。これは今までのおつき合いからわかっていることです。僕がどれくらい吹けてどれくらい吹けなくて、どれくらい音楽が分かっていてどれくらい分かっていないか、なんてもう十分にバレているからです。できないことをカッコつけて出来るふりをすることが一番やってはいけないことだと教えられてきたし、それがコミュニケーションできない原因になることもここ数年で理解しました。とにかく相手の音楽をよく聴いてそして自分もその中に入って行く。そこで出来るだけ会話をする。これしかやるべき事はありません。開き直る、とも言うのかもしれませんが。。。そしてこの会話、僕は小曽根さんとしていたように思っていたのですが、小曽根さんはお客様もそこにしっかり参加させるというベクトルなのかエネルギーなのか。そのために聴いてくださっているお客様も僕らの会話を楽しめるようなんです。これが小曽根さんのマジック、じゃなくて魔力?なんだろう、不思議な力なんです。
演奏後は小曽根さんからも楽しかったよと言っていただきとても嬉しかったです。そしてアドバイスも、言葉で頂いたことと、演奏を通して頂いたこととあり、また次へのエネルギーになりました。
そしてそれから10日ほど経った今日、とある事で連絡をとった際、今回書いた曲についてアドバイスをいただきました。言葉では気を使ってくださり表面上は軟らかいアドバイスですが、内容としてはまさにぐさっと痛い所を指摘されました。でも本当にその通りでまさに全てお見通しなんです。僕が普段曲を作る時にあるコンプレックスと自覚はしていないつもりだけど多分自分の中にあるよくないポイントをまさにグサリ!もちろんそれを解決するためのヒントもいただけました。
今回のDuoを経験して改めて小曽根さんの凄さを身を以て感じました。プレイはもちろんです。プレイだけではなく、とにかく何に対しても、例えば曲に対しても僕のプレイにも、最初から絶対にNoと言わないのです。結局2曲とも新曲をやっていただいたし、「ここのコードはこっちの方がいいけどコンちゃんにはこう聴こえてるのならこうしたらどう?」とか「こう転回したほうが物語になるんじゃないかな?」とか。本当はこの曲は人前では演奏できないよと思われたのかもしれませんが、とにかくやる、とにかく僕のことを尊重してくださるのです。その上で経験としてアドバイスをくださる。これが「会話」なのですね。
次にまた小曽根さんとDuoをやらせていただける機会がこの先あるかどうかわかりませんが、ぜひまたやってみたい。
本当に素晴らしい経験をさせていただきました。小曽根さん、Girl Talkの笹ノ間さん、スタッフの皆さま、ありがとうございました!
そしてお越しくださった沢山のお客様、本当にありがとうございました。
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