NNH 東北支援キャラバン

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小曽根 真 No Name Horsesで東北復興支援キャラバンに行ってきました。

メンバー、スタッフ、ドライバー、総勢28名で、1日3カ所、2日間で6カ所を廻るというプロジェクト。
このプロジェクトに日産自動車さんが大きなお力添えをしてくださり、メンバー移動用の大型バス、そして楽器、機材などの運搬に大型トレーラーをご用意してくださいました。なんとNoNameHoreseのロゴ入りです。それだけではなく、なんとなんとこのトレーラーは荷台が開くとステージにもなるのです!というのも日産自動車の常務で日本を代表するカーデザイナーの中村史郎さんはジャズベーシストでもあり(その腕前は趣味の範囲を遥かに超えています。小曽根さんとDuoをやるほどですから。)小曽根さんとは大の仲良し。その中村さんのお力添えです。2日目からは中村さんもツアーに参加してくださいました。

7月4日、11:00に東京駅に集合し、いざバスで最初の目的地の岩手県大槌町に向けて出発。メンバー全員でバスでの長距離移動は初めてかもしれません。予定は9時間。この日はとりあえず移動だけなのでなんだか修学旅行のようなワクワク感。乗るや否やウイスキーを呑むテナー奏者やポッキーやら煎餅やらいろいろおやつを用意しているリーダーやら。それぞれのメンバーはいろんな現場で一緒になりますが、こうしてNNHとして集うのは年に数回あるかないか。皆とても楽しみにしているので話しは尽きません。(内容は決して書けるものではありませんが。。。)

途中何度か休憩をしながら、

予定より少し時間がかかり約10時間で大槌町の「さんずろ家」さんにて夕食。なんと贅沢な海の幸をお腹いっぱいいただきました。本当に美味しかったです。夜で外は真っ暗なのですが窓の外は海らしいです。さんずろ家さんのおかみさんがめちゃ面白くていきなり元気をもらいました。この海の幸を採っていただいた地元の方々、そしてそれをこうして料理して出してくださるお店の方々、皆さんきっとそれぞれ震災で大変な思いをされたんだろうと思いながらじっくりと感謝して頂きました。そしてここからNHK仙台放送局のクルーの方々が合流してドキュメント撮影が入ります。事務所からは事前に「撮影が入るため飲み過ぎないように!」との厳重注意を。


そしてホテルに向かう途中のコンビニの駐車場でついに初対面!みな思わず”おぉ〜”と感動の声。そうです、今回最も重要な役割を果たすことになるNNHトレーラーです!自分たちのバンド名が入ったトレーラーなんて!嬉しいですね。

移動の疲れをしっかり癒し、明日からの演奏のために皆すぐに休みました。こういうところも素晴らしいチームです。それぞれが自分の役割に責任を持っている証拠ですね。

7月5日<Stage1>大槌高等学校体育館

8時過ぎにホテルを出て最初の演奏を行う大槌高校へ。今回唯一の屋内演奏。そして唯一のリハーサルができる場所です。スタッフの皆さん、そして小曽根さん自ら機材をセッティング。久しぶりのNNH、1音目で、あぁここに戻ってきた、と実感する。やはりいいバンドです。

今回のスタッフさん、音響はもちろんNNHや小曽根さんの仕事では欠かすことの出来ない伊藤さん、そして同じく照明の岡田さん。でも野外や体育館で照明。。。ということでなんと岡田さんはPAや楽器の電源の確保をメインとされるようです。実はこのツアーの直前に小曽根さんとゲイリー・バートンさんのDuoのコンサートを観に行って岡田さんとお会いした時に開口一番「俺もキャラバン行きますよ。電源やりますから」と。その言葉と勢いにもの凄く感動しました。だって岡田さんといえば舞台照明ではとても有名な方ですし、たった今観た小曽根さんのコンサートでも照明がもの凄くて感動したところでしたから。そんな人が電源のためにツアーに参加してくださるなんて。その熱い想いに、やっぱりすごいチームだと。これはまたすごいことになると思いました。もちろん体育館や夕方の時間帯のコンサートのために照明機材も用意してくださいました。PAの伊藤さん、当初は最小限のマイク数かと思っていましたが、なんとほぼ全員分のマイク。しかも時間がないのでほとんどマイクチェックしないまま即本番、なのに一瞬にして素晴らしい音を作ってくださいました。これもやはり今までNNHをずっとやってきていただいたからできるのかもしれません。信頼関係ですね。こういうところで、演奏者だけではなくスタッフ全員でひとつのファミリーを作ってきた小曽根さんの力が実感できるのです。

そして小曽根さんの楽器は生のピアノを運ぶのはやはり移動時間やスペースのことなどを含め無理なのでヤマハの デジタルピアノを持ち込みました。デジタルなので調律不要、なのですが小曽根さんのチームにはやはり欠かせない調律の曽我さん。小曽根さんが普段全幅の信頼を寄せるすごい調律師さんですが、なんと曽我さんは今回はステージや音響の設営のスタッフです。
そして曽我さんと同じく普段は小曽根さんをはじめアーティストのケアをされているヤマハの樋口さんも細かい雑務から設営まで全てを助けるスタッフとしての参加。
そして小曽根さんのマネージメントの梶本音楽事務所の岡本さん、小倉さん、千田さん、我々バンドの細かいケアからもちろん小曽根さんのマネージメント、そしてステージ設営、陰アナ、弁当や食事の手配、ゴミ集め、ありとあらゆることをやっていただきました。そしてそれら全てのスタッフの全てのアシスタントとして国立音大を出たばかりの青地くんという若者が参加してくれました。

ここに挙げたスタッフの皆さんはそれぞれが事業主であったり、お務めであったり。今回のツアーにはそれぞれ有給休暇をとっての完全なボランティアでの参加なのです。プロ中のプロがボランティアとはいえ力を合わせるとこんなスゴいことになるんですね。そんなことを目の当たりにしたら僕ら演奏者にも大きな責任がかかります。
バンドとスタッフという垣根を全く越えたチームワークがここに来て 本当に威力を発揮します。
もちろんその中心には小曽根さんの存在があり、改めて小曽根さんの人を引きつける力のスゴさを感じます。

もうひとつ、我々の移動のための大型バスとトレーラーを運転してくださるドライバーさん4名。この方々には今回初めて会うのですが、やはりみなさん素晴らしい方たちで、優しいけど筋が通っていてプロフェッショナル。最初から4人ともバンドのTシャツを着てくださり、我々のチームにすーっと入ってきてくださいました。これまた素晴らしい出会いでした。

7月5日<Stage 2>大槌町赤浜

ここはひょっこりひょうたん島のモデルとなった蓬莱島があり町の防災無線で毎日流していたテーマソングの音源も震災で全て失ってしまい、その後小曽根さんが自らの演奏でその音源を提供しました。その音源は今でも毎日流れているそうです。そのひょうたん島をバックに演奏する予定でしたが、あいにくの雨。当初は雨天の場合近くの小学校で演奏する予定でしたが、やはりどうしても蓬莱島の前で演奏しましょうということになり、雨の中カッパを着てのステージ設営。あのNNHトレーラーの出番です。とはいえ予定ではピアノとドラム、ベースだけがトレーラーの上で演奏することに。トレーラーの前にとりあえずテントを設営したけれどホーン全員は入れないのでトランペット、トロンボーンはトレーラーの上になんとか乗りサックスはテントでということになりました。そこで何気なくドラム越しにひょうたん島の写真を撮ろうとしてみたら、あれ?なんだか結構スペースがある。これはもしかしたら少しずらせば、、、トランペットとトロンボーンが一列に並べばサックスも乗れるかもしれない、と思いつき、ドラムの信ちゃんにもう少し寄れるか相談して、エリックや英二郎に横に並んでも可能か相談し、そしてそのアイデアを小曽根さんに話し、じゃとりあえず急いでやってみようという判断で急遽作戦変更。なんと綺麗に全員トレーラーの上に乗れました!思いついてよかった!でも雨の中大変な苦労をされてせっかくテントをトレーラー前に設営していただいたのにすぐにまた取り除くことになり申し訳ない思いでした。そしてサウンドチェックも無しにそのまま本番の演奏です。これがなんともやりやすい!まるで狭いクラブで演奏してるような感じ。全員の音が近くに聞こえるのです。しかしマイクチェックもしていないのにいきなり演奏してそのバランスを瞬時に作ってしまう音響の伊藤さんは凄い!
雨の中たくさんのお客様にも集まっていただきました。集まっていただいた方の楽しそうなお顔を見れて本当に嬉しかったです。

 

7月5日<Stage 3>釜石市民体育館跡地

赤浜から約40分の移動で釜石へ。着くや否やすぐにステージ設営、そしてお客様の椅子列べなどの準備です。開演まで30分。自然と足手まといにならないようにメンバーも少しずつお手伝い。とはいえスタッフの皆さんの驚異的な手際の良さは凄いです。終演後30分でバラし梱包して全員で移動して30分で設営、を1日3回、2日間やるなんて、この人達じゃなきゃできません。
雨は生憎止みませんでしたが、全員トレーラーでの演奏が可能になったのでこれから先もすべてトレーラー上で演奏することになりました。
実はこの場所は仮設住宅の横で、いろいろな方が来て演奏したりするらしいのですが、現実にここで生活している方がいると思うと少し申し訳ないような気がしました。しかも時間帯は夕刻で仮設住宅のもそれぞれ電気が灯り生活感がダイレクトに伝わってきます。本当に一日も早くこの仮設住宅から普通の環境で生活できるようになることを心からお祈りします。そしてそのことを我々はいつもいつまでも忘れないようにしないといけません。

雨の中たくさんの方に集まっていただきました。ありがとうございました。

そして宿泊地の気仙沼に向けて出発。さすがに皆疲れて乗るや否や皆寝落ちしました。でも気持ちのいい寝落ちですね。

約90分で気仙沼ホテル観洋着。今日の夕食は焼き肉です。しかもホルモン!そう、リーダーが大好きなホルモンです。

そしてここから日産自動車の中村さんも合流しました。たくさん食べて飲んでそしてホテルで皆で温泉に浸かりました。ありがたい事ですね。NNHで温泉に来たのも初めてでした。これぞ裸の付き合いができました。今日は部屋は相部屋。僕はあっちゃん、正典と一緒でした。これもゆっくり枕越しに話ができて楽しかったです。隣は小曽根さん、三木くん、英二郎、というなんとも濃い部屋。ずいぶん遅くまで飲んでいたようですよ。はよ寝んかい!

7月6日<Stage 1>気仙沼お魚市場
気仙沼、僕は若い頃ドラマーのバイソン片山さんのバンドに参加していたことがあります。そのバイソンさんは気仙沼出身で、何度も気仙沼には連れて行っていただきました。ですからとても身近に感じていて土地勘も少しあったので、震災の時には一番ショックを受けた地域でした。震災の年の6月だったかな、もの凄く久しぶりにバイソンさんから気仙沼でのコンサートの仕事を頼まれていて久しぶりに訪れることをめちゃくちゃ楽しみにしていました。もちろんそのコンサートは中止でした。そんなこともあり、個人的に今回のキャラバンの中で一番楽しみにしていたのがこの気仙沼でした。
全日にホテルに着いた時にバイソンさんに電話はしてありましたが、演奏よりもずいぶん前にバイソンさんのお兄さんのBさんにも再会でき、そして気仙沼のヴァンガードというジャズ喫茶 のマスター昆野さんとも再会できました。友人のお母様や知り合い何人かとも再会できました。とても嬉しかった。無事で再会できたことに感謝しました。このステージは個人的に特別な想いで演奏させていただきました。まだまだ復興には時間がかかりそうですが、頑張っていただきたいです。もちろん他の地域も同じ想いです。

気仙沼からちょっと距離がある石巻へ。予定では1時間40分でしたが結局2時間くらいの移動でした。皆疲れも溜まってきてバスの中ではほぼ全員寝てしまいます。途中目が覚めるとTVで見た建物。バスで通りかかっただけですがこうして生で見るとやはりショックを受けます。南三陸は今回は演奏しませんでしたが、次回はぜひこちらにも訪れたいです。南三陸の志津川高校、震災の時に校庭にSOSを書いた映像が何度もTVに流れた学校です、そこで音楽の教師をやられている方が知り合いなのですが、今年2月に宮城でお会いできましたが、今回はお会いできず残念でした。

7月6日<Stage 2>石巻まちなか復興マルシェ

ここはフードコートや地元の特産物、土産物などのお店が集まっている場所で、そこにNNHのトレーラーがソロソロと入っていきました。こういう場所だと一段と凄い迫力です。土曜日の昼過ぎだということもあり沢山の方に集まっていただき演奏も盛り上がりました!そして昨夜からツアーに合流してくださった、今回のトレーラーと我々の乗る大型バスを提供してくださった日産自動車の常務でカーデザイナーの中村史郎さんもバンドのTシャツを着て1曲演奏に加わっていただきました。そのプレイは素晴らしくただ者ではない、と思っていろいろお話をうかがったら、若い時は有名な方々とライブをやっていたそうです。今でももちろんプレイしているそうですが、小曽根さんとDuoをやったりするほどの腕前なんです。(写真なくてすみません)

個人的には1曲目の途中でなんか楽器がおかしいと思ったらコルクが外れてしまいましたが、紙とマイクに着いていたビニールテープで応急処置をして事なきを得ました。

7月6日<Stage 3>多賀城跡あやめ園

今回のキャラバン最終ステージは多賀城のあやめ園のあやめ祭り。お祭りの特設ステージの前にトレーラーを横付けです。お祭りですからとても沢山の方が聴いてくださいました。子供達との合同演奏もありました。日産の中村さんも先ほどとは違う曲で参加してくださいました。最後のステージにふさわしい沢山の方の声援で全6ステージ終了しました。

演奏後、お祭り会場だけあって生ビールが。撤収するスタッフさんに失礼してお先に乾杯。そして2日間のステージとなったトレーラーが閉まります。撤収も終わり全員で乾杯。そして記念撮影。あとは仙台駅から新幹線で帰るだけです。トレーラーとバスは神奈川へ。お疲れさまです。

今回は本当にスタッフの皆さんが凄かったです。設営と撤収の繰り返し、本当にお疲れさまでした。

我々演奏者はとにかく各地で集まっていただいたお客様の笑顔と我々を温かく迎いいれてくださったお気持ちにたくさんのエネルギーをいただきました。本当は我々が演奏して元気をお伝えしなければならなかったのに逆に我々がたくさん元気をいただきました。
まだまだ復興には時間がかかるようですが、決して忘れる事無くできる事をできるかぎり続けていかなければならないと思いました。

改めて震災で犠牲となってしまった方々のご冥福と、一日も早く皆さんが普通の生活ができるような復興をお祈りします。

また必ず還ってきたいです!

メンバー、スタッフ含め、同じチーム、同じこのファミリーで、近い将来、また必ず東北へ 行きましょう!

 

2013年07月15日 月曜日 1:02 | "kazkondo"

Comments (2)

  • "duke" says...

    kazkondo さん、はじめまして。

    札幌市在住のdukeと申します。昨夜、デイ・バイ・デイで聴かせていただきました。お名前は存じておりましたが、生に接するのは初めてでした。曲は確か夜千にラヴァーマンと酔った頭で記憶しておりますが、久しぶりに本物のジャズを堪能しました。地下鉄の時間もあり最終まで聴けず残念でしたが、またの機会を楽しみにしております。札幌でライブがあるときはご一報ください。

    Posted on 2013年08月25日 日曜日 10:41

  • "kazkondo" says...

    dukeさま、メッセージありがとうございます。昨夜は久しぶりにスージーさんやバンドの皆さんに会えてとても嬉しかったです。
    曲は夜千ではなくスピークロウでした。
    またお会いできるのを楽しみにしています。
    札幌で演奏がある際はぜひよろしくお願いします。

    Posted on 2013年08月25日 日曜日 16:51

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